「X理論」の意味
XY理論は1950年代後半にアメリカのマサチューセッツ工科大学教授のダグラス・マグレガーの著書『企業の人間的側面』に登場したモチベーション理論です。マグレガーは権限行使による統制的なX理論と、統合と自己統制のY理論を提唱しました。 彼は人間に対する2つの相対する本質的な見方、人間は本来仕事嫌いであるという見方と、人間は本来進んで仕事をしたがる生き物であるという見方を対立させました。 前者は、人間はもともと怠け者で、進んで責任を負うことは好まず、強制されたり命令されなければ仕事をしないと考えます。そしてこの考え方はX理論と呼ばれました。それに対し、後者は、人間は生まれながらに仕事が嫌いということはなくて、自己実現のためには自ら進んで行動して問題を解決したがる生き物であると考えます。これをY理論といいます。 また、マグレガーはマズローが先に唱えた欲求段階説をベースにしてこれらの理論を説明しています。X理論は生理的欲求や安全の欲求など、マズローの欲求段階説では低次の欲求に分類される欲求を比較的多くもった人間の行動モデルで、命令や統制で管理し、目標が達成できなければ処罰するというマネージメントがうまく機能すると主張しました。 Y理論は、マズローの高次欲求に分類される社会的欲求や、自己実現の欲求を比較的多くもつ人間の行動モデルで、目標と責任を与えることで人を動かしていくための機会を用意するマネージメントがうまく機能すると唱えました。そして、人間はどちらか一方だけのタイプに当てはまるのではないと加えています。 また、権限行使と命令統制のX理論を批判して、統合と自己統制の経営が将来的にはよい経営手法となると主張しました。 1970年代になると、日本の経営手法が評価され、経営手法における責任やコンセンサスに注目が集まるようになりました。マグレガーのXY理論はその後、W.GオオウチのセオリーZに引き継がれていきました。