「ワークショップ」の意味
ワークショップが企業内で行われるようになった理由は大きく分けて2つあります。 1つは企業内で人材の多様性が増したことです。 ひと昔前までは1社に終身雇用もしくは寿退社が当たり前でしたが、近年、特に大企業は中途採用が増加したり、他の企業の事業や企業そのものを買収し、今までと比べて圧倒的かつ急激的に多様な人材を雇い入れるケースが増えてきました。 その際、仕事のやり方や仕事に対する考え方など、研修で伝えるには限界があることをある種の経験として深く理解してもらう方法としてワークショップが使われるようになりました。 ワークショップは講師などが一方的に知識や経験を伝えるのと違い、共通のテーマで参加者が共同作業を一緒にやることを通じて、そのテーマに関する深い理解を促すことが出来るのです。 たとえばある企業で女性に対するセクシャルハラスメントの多さが問題になっていたとします。その防止策を考えるときに、出来るだけ幅広い年次で関係者を集めて、アイデアを自由にポストイットなどに書かせ、全員が見られるように壁に貼り出すとします。すると年次の違いだけではなく、一人ひとりが受けてきた教育の違いや経験してきたことなどによる視点や考え方違いが一目瞭然になります。そういった視点や考え方の違いがなぜ生まれてくるのかをお互いに質問し合ったり、議論したりすることで相互理解が深まり、問題や課題を一緒に考えやすくなるのです。 二つ目は、講義による研修の効果が疑われていることです。 ある学者によれば、研修で習った内容は10%程度しか記憶に残らないと言われています。そうだとすると研修で習った内容が現場で役立つタイミングが来たとき、実際に覚えている確立はきわめて低いことになります。 単に講義などで情報として聞いただけのことと、ワークショップなどで仲間と一緒にやった共同作業を通じて文字通り体で学んだことは、どちらが記憶に残りやすいかは、言わずと知れたことです。