用語辞典

「科学的管理法」の意味

20世紀の初め頃に提唱され、以後発展してきた労働の管理方法についての研究論のことを「科学的管理法」といいます。幾つかの問題があった経営・労働関係において、客観的基準を設けた管理を行って労資協調(労使協調)体制の構築をし、生産性増強・労働賃金上昇に結びつけることで労働者と会社(使用者)が争い無く共に生き、繁栄していくことが可能になると考えられたものです。この科学的管理法は、別名「テイラーシステム」と呼ばれることもあります。指導理念に関してはテイラリズムといわれます。 科学的管理法の根本となるものは、課業の管理・作業の統一や単純化・作業管理に最も適した組織の形態です。中核を成す課業概念の基本は、その日の仕事量(ノルマ)の設定・手順や工具などといった諸条件の標準化・不成功減収・時間と動作の研究・計画と実行の分離(後のラインアンドスタッフ組織)です。これらは生産現場の管理概念を不動のものにさせ、現代での経営や生産管理論などの原点となっているため、経営史などでも特別に取り立てて書かれることが多々あります。 これをきっかけにして生み出されたのが、IE(インダストリアル エンジニアリング)です。この基礎となっているものは作業測定・方法改技法であり、その目的は品質・原価・生産・作業の管理です。つまり、これらの技術を体系化したものであると言えます。 IE活動による経営改善実践の内容とは、生産性向上のために、余計な作業・無効時間・怠惰時間などを減らしていこうとすることです。 原因が製品にある場合は、製品・市場・顧客などの調査や分析、専門化・標準化を行います。工程にある場合は、工程の計画・研究、作業を行う者への訓練を行います。無効時間を減らすには、標準化・資材管理・マーケティング・保全・安全装置・作業環境改善などが経営者側に、人事方針・労務管理・安全訓練・成果報酬型制度などが作業者側に必要となります。 この様にして3M(設備・材料・人)を有効的に活用する上で、経営の総合的な向上を目指します。