用語辞典

「権限委譲」の意味

組織学上の権限とは、人材や施設、資金などのヒト、モノ、カネといった経営資源や、組織外部のネットワークを自らの意思において使うことができる裁量の度合いと、仕事の進め方を自ら決めることができる程度のことであると言えます。 権限委譲とは組織などの目標を達成するために、その構成員に自律的に行動する力を与えることです。英語ではempowerment(エンパワーメント)と言われます。権限委譲に対する考え方は時代とともに変わってきています。 以前は、意思決定権や責任を単に委譲することであると考えられていました。つまり、経営者や業務管理者が業務目標を示し、それを達成するための指示や解決策を示した後、遂行については部下の主体的な判断に任せるということです。 しかしながら、昨今では、遂行者の自立を促し、それを支援するという考え方に変わってきました。すなわち、経営者や業務管理者が具体的な指示や解決方法を部下に与えるのではなくて、部下自身が問題点を発見し、整理し、不足する能力を開発できるような環境を整えるといった考え方です。 このような経営者たちの取り組みは、以前は経営者や管理者個人の行動パターンとしてとらえられていました。しかし最近では、リーダーシップを発揮するために必要な経営の技術として意識的に習得するものと考えられるようになりました。 権限を委譲された場合の部下の責任の範囲ですが、部下が仕事を進める上で権限の委譲が行われたとしても、結果に関する責任をすべて部下が負わなければならないというわけではありません。結果についての責任を負う上司から部下は権限の委譲をされているということになりますので、部下の責任は権限の範囲内で一定の責任にとどまるということになります。したがって、結果のすべての責任を部下は負う必要はありません。 このように権限の委譲に関する考え方は時間とともに変化し、これに関する考え方は組織を管理する者にとってますます重要になってきました。