「レディネス」の意味
レディネス(Readiness)は、準備性を意味する心理学用語の一つです。学習や習得を行う場合に、学習者側に、学ぶために必要な条件や環境が整っている状態のことであり、特に子どもの教育に用いられる言葉です。 子どもの心身が発達し、学習する際の基本的な条件となる知識や経験などが形成されて、身体などができあがっているといった、学習者が学習活動に効果的に関わることができる心身の準備状態のことを示しています。 また、レディネスは学習の前提条件です。準備性がある学習者は、興味をもち、自ら進んで学習を進めることができます。その結果、学習の効果をあげることができます。一方、準備性のない学習者は、その学習に興味がなく、学習の効果をあげることは困難です。ですので、準備性は学習においてとても重要なものです。 しかし、準備性さえ整えば、その後はどんな年齢でも効果的な学習が可能になるかといえば、そうではありません。子どもの発達過程にはそれぞれ学習するにふさわしい時期があります。このような学習の最適期を過ぎてしまうと、学習効率が低下してしまい、思うように学習が進められなくなってしまうことがあります。 このような子どもの学習の最適期の準備性を、学習の適時性と学習の可能性との関連でとらえたのがゲゼルやトンプソン、ブルーナーたちです。 ゲゼルとトンプソンはレディネスを待ってからの教育を、という伝統的な教育観を唱えました。これは成熟優位説といわれます。これに対して、ブルーナーは、どんな課題でも、子どもにとって適切な方法を踏まえれば、どんな水準の子どもでも学習させることが可能であるという学習優位説を唱えました。これは先回りして教えるという教育観です。 ゲゼルやトンプソン、ブルーナーのように子どもの学習の準備性については様々な考え方があり、どちらが正しいというわけではありません。現実には、子どもの周りの環境にはどちらの教育観も存在しています。